2014年8月13日水曜日

七十一投目 自立と共生の間③

お久しぶりです。八月は仕事が忙しく、なかなかブログ更新できずに申し訳ありません。
二ヶ月も間が空いてしまいましたが、
「障害がある子の親である私たち」の感想の続きです。①、②を読んでからお読みください。
実は本を読んだ後、著者の福井公子さんにお時間を頂いて、自分がやっている障害福祉サービス コトノハのスタッフと所属会社であるLLCトライアクションの経営者と共に、本を読んだ感想を交えながら、直接お話しを聴かせていただく機会を得ました。

福井さんは情熱的に楽しく、約三時間弱興味深いお話しをしてくださいました。
特に自分が印象に残っている事を抜粋して書かせていただきます。
まず、自分たちがやっている仕事、「行動援護」や「移動支援」について、過去からいかに障害のある子供たちの家族さんが苦労をしながらこの制度を作り上げてきて下さったのか、非常にわかりやすく、面白くお話ししてくださいました。
「行動援護」、「移動支援」というサービスは知的、精神、身体に障害がある方の外出を安全に行うため、ヘルパーが外出先で同行させて頂くサービスです。我々は制度として確立された状態でこのサービス関わらせて頂いていますが、まず過去には障害者の方達のサービスへの選択肢は施設入所しかなかったのです。福井さんは施設入所は基本的に社会から見えない状態にしてしまうこと、地域とのつながりを切ってしまうことであると言われていました。
自分達が生きる地域共同体の中に、(この場合徳島県阿波市)自分達の子供も当然当たり前に暮らして欲しい。手に入れたいのは当たり前の生活を営む権利。このことをノーマライゼーションと言います。

しかし、そこに関わるボランティアの方も都会と違って田舎である徳島にはほとんどいません。

そこで福井さんは周り親子さんたちに声をかけて、「休日サポートビバ!ノンノ」というグループを立ち上げます。福井さんの行動力は凄くて、思いたったら即動く、という感じで非常に痛快です。

「ビバノンノ」の活動は障害がある子と親御さんたちが集まり、休日にお互いのお子さんを見守りつつ、ボーリングやカラオケ、バーベキューなどで楽しもうというグループで、初めてその事を知ったとき、徳島で自ら率先して親御さんたちが立ち上げたという事実に僕は興奮したのでした。

しかし、本当は障害を持つ子の親御さんたち自身が休息を取ったり、仕事ができる時間が必要なのです。

本の中でも主張される事ですが、本当は行政やサービス提供できる業者側が率先して障害福祉を引っ張っていかなければ行けないのに、自分達が活動し過ぎる事で、社会に訴えかける事を忘れがちになってしまうのではないか?
という疑問も同時に提示されます。

全ての人が産まれ育った地域の中で暮らしていけるような社会を目指すべきであるという、ノーマライゼーションの理念もここ何十年かの間で少しづつ、盛り上がりを見せてきました。

そんな中、国の福祉サービスに外出サービスが組み込まれる前、全額実費で
外出サービスを手掛ける業者も現れたそうです。

たとえ高い利用料を払ってでも、このサービスを社会的に定着させるためには、サービスを使い続けることが必要だったと福井さんは言います。

親御さん同士でも誤解や軋轢があり、「あなたの所はお金があるから、できるんだ。」
「なんで、高い料金を払ってまで、他人に自分の子供をあずけるの?」
といった辛い言葉もあったようです。

いつでも先頭に立って、子供たちと親御さんのこと、社会的な障害福祉サービスの定着について考えてきた福井さんは、先頭に立つがゆえの誤解や中傷を感じてこられたのだと思い、
胸が痛みました。
そのような苦労の末ようやく、行動援護、移動支援のサービスが公的に創設されました。
あき書。④に続く。



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